読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

死ぬまでにどれだけ聴けるか

あとどれだけ聴けるんだよぉぉぉぉぉぉ

WANIMA『Are You Coming?』

Are You Coming?

2015.11.04 Release

 WANIMA 1st Album『Are You Coming?』 

 

<収録曲>

1. ここから
2. 夏の面影
3. いつもの流れ
4. Japanese Pride
5. SLOW
6. TRACE
7. 1CHANCE
8. リベンジ
9. いいから
10. Hey yo...
11. エル
12. THANX
13. また逢える日まで

(TOTAL : 41min)

 

2014年のKNOTFEST JAPANでは、「やっぱり洋楽バンドはレベルが違う…」と思った。(とはいえ後になって意図的に邦楽バンドだけ切られているスピーカーがあったという事実が分かり、圧倒的に音圧に差が出るようにされたという中々たまらない扱いもあったらしいのだけど)

その翌年2015年のPUNKSPRING TOKYOは邦楽バンドが健闘していた、というかみんな良いライブを演っていた。
(もちろんスピーカーも洋楽、邦楽、差は無し!!) 

MY FIRST STORYもTOTALFATもSiMもLas VegasもKNOCK OUT MONKEYもみんな良かった。「海外勢に負けないぜ」という日本人の気迫を見た。
そんな中でも一番良かったのがOpening Actで出ていたWANIMAだった。

 

Opening Act枠をもうけるフェスは当然ながらOAだけ持ち時間が短い。彼らにこの日与えられた時間は25分。

開場直後でまだ満員とはいえないがそこそこ入っていた幕張メッセのオーディエンスを全部持っていったんじゃないか?というパフォーマンスだった。

この日の出演者の中ではまだ圧倒的に知名度が低かったであろう彼らは後に続く先輩たちへの敬意を感じさせつつも、自分達がこのフェスの着火剤になるという役目をしっかり認識していたんだと思う。

MCでは松本健太(Vo./Ba.)がいきなりTaylor Swift「We Are Never Ever Getting Back Together」を歌い始め、あまりの唐突さにみんな笑い出し、お決まりの「うーううーううー」のくだりでは客席にマイクを向けて、いきなり会場は大合唱。この一撃で一気に持っていった。みんなを味方にしてしまった。

「この人ら面白いなぁ〜」とみんなが思ったところに超キャッチーな楽曲を浴びせかける。人柄を知った上で楽曲を聴くと届き方が変わってくるのがライブ。

MCで惹かれて直後に楽曲で会場中のハートをがっちりキャッチしていった。

 

最後の曲の終わりに松本が「日本代表、PIZZA OF DEATH所属、WANIMAでした!!」という一言にも痺れたが、ステージを去りながら手に持っていたマイクで小さく「アンコール…アンコール…」と言い始め、それを聞いてWANIMAに心を持っていかれた初見のオーディエンスも吊られて手拍子と掛け声を始める。結果、自分達でアンコールを作り出してもう1曲演るという芸当をやってのけた。この瞬間にゾッとした。

 

考えてみてほしい。

 

普通、フェスのOAに出るバンドというのは当然ながらその日が初出演なわけで、与えられた短い時間の中でどうやって自分達を知ってもらうか、見せるか、残すか、を考える。

そう考えた時に大抵のバンドはどう考えるか。

「会場のほとんどが自分達を初めて観る人たちだ」

「名前と楽曲だけでも印象に残して帰りたい」

「MCを少なくして、とにかく1曲でも多く演ろう」

と自分達の自信のある曲を短い持ち時間に1曲でも多く演ろうと詰め込んだ構成を考える。

大体これが普通の考えだし、全然間違っていないと思う。

 

ところがWANIMAの場合は、1曲1曲の尺が短いことを活かしてよく喋ってもいたし、更にアンコールのくだりのために、25分のうち、20分くらいでわざと終わって、そこからアンコールを作り出して、もう1曲やってキチンと持ち時間で終わらせる。

仮にこの日の曲中のMCがウケなくて、最後のアンコールのくだりをやったとしても会場が全く反応しなかったらダダスベりし壮絶に寒いことになっていただろう、と想像すると恐ろしい。

フェスというのは初めての人達に自分達の音楽を知ってもらうキッカケにもなるが、そこで全然良くないやと思われたらその人が今後CDを買ってくれることもライブハウスに来てくれることもなくなってしまう。

チャンスでもあり、また失敗すると取り返しがつかないくらいのマイナスプロモーションにもなってしまうというまさに勝負の場だ。

 

更にフェスはタイムテーブルをキッチリと守るというのが各出演者の暗黙の了解となっている。仮に1分でも押してしまうとそれは事故となり、1分何万円と罰金を払わされる場合もあるからだ。

そんな2つのリスクを負いながら彼らは時間を守りつつ、その中にアンコール演出のくだりをやってみせた。恐ろしく頭が良くて、恐ろしく肝が座っているのだ。

完全に本物だ。

 

「うわぁ…やべぇ…」
「WANIMA半端ないね…」


恐らく初見であろう近くにいたディッキーズを履いた2人組のキッズたちが漏らした。
そして、僕も同じことを漏らしていた。
この日は一番最後のFALL OUT BOYまで観たけれど、WANIMAはOAにして僕の中でMVPだった。

それがWANIMAをくそヤバイと認識した日だった。

 

------------------------------------------------------------------

と、その当時、僕はFBに書いていました。

 

PIZZA OF DEATHが初めてマネージメントするバンド」=「Ken Yokoyamaのお墨付きのバンド」として2014年10月に1st Mini Album『Can Not Behaved!!』でデビュー。

そんな頃に自分もYouTubeでMVをチェックしてみた。


WANIMA-1106 (OFFICIAL VIDEO) - YouTube

 PIZZA OF DEATH、そしてアーティスト写真のイメージから自然に「またメロコアのバンドだろうなぁ」と思いながら観てみたら、この1曲を聴いて完全に食らったんだよなぁ。激しい、切ない、そして泣ける。とにかく泣きが凄まじい。メロコアでありながら完全に純邦楽感のあるロックバンド。

(ちなみに上記のPUNKSPRINGでこれを演った時は本当にグッときて。笑って、アガって、泣く。フェスのたった25分の中で3つも違う感情が出てきてしまった。)

 

その後にすぐさまこの1st Mini Albumを聴いてみて、更に食らう。7曲入り/18分とミニアルバムにしても短めの作品なのに全然物足りなさを感じない。捨て曲が無い+とにかくメロディが抜群に普遍的なキャッチーさを帯びていてどれもすぐに口ずさめてしまうほど強烈に残る1枚だった。

この作品はインディーズの新人としては異例のスピードで1万枚を売り、一躍シーンにその名を轟かせ始めた。発売から1年、もう2万枚以上いってるんじゃないかな。

 

前置きが長くなってしまったけどそんなJ-ROCKシーンで飛ぶ鳥を落とす勢いのWANIMAの1stフルアルバム。

期待を裏切らない全13曲またまた捨て曲無しの1枚。

十八番といえるキッズダイヴカモーンなアッパーな楽曲もキチンと入っているけれど、むしろ良いなと思ったのはM5「SLOW」、M10「Hey Yo…」などのミディアムに聴かせる楽曲たち。聴かせることも出来るメロコアバンドが過去にいただろうか。いやもうメロコアバンドという認識すら間違っているかもしれない。


WANIMA -TRACE (OFFICIAL VIDEO) - YouTube

 


WANIMA- THANX(OFFICIAL VIDEO) - YouTube

その音楽性にモンゴル80010-FEETを引き合いに出されることも多いWANIMAだが、彼らは圧倒的に2010年代型のバンドだ。懐かしさだけじゃなくて新しさと"今"感をキチンと備えている現代の新人バンド。

僕もどこかで彼らに10数年前のモンパチがシーンを飛び越えて全国的なメガヒットをした、いや、"メガヒットしてしまった"時のような現象をWANIMAが起こすんじゃないかと思っている1人。

フェス、ライブハウス、そこにいるキッズたちは勿論、その他の老若男女にも絶対的に受け入れられるだろう普遍的なものを持っているバンド。不思議だ。

とにかくメロディが圧倒的に普遍的で、例えるならジャンルもサウンドも違えどback numberと同じくらい誰でも聴けてしまうほど本当に普遍的だ。

難しい言葉を使わないのに突き刺さってくる歌詞、「分かりやすさ」と「深さ」のバランスを最高の調合で料理するために何度も試行錯誤して相当突き詰めたんじゃなかろうか。歌詞もめちゃくちゃ良い。

そして最高に笑える下ネタ(AMならともかくFMのラジオレギュラー番組タイトルに「ワンチャンラジオ」と付けられるinterFMサイコーだ)。そしてメロディと同じく普遍性を帯びた太く耳障りの良い声質。歌詞が聴き取りやすくて最高だ。

 

今週発売の1st AlbumはオリコンデイリーチャートでもTOP3内に入ってきている。

『diorama』を出した時の米津玄師同様、もう次はWANIMAだろうと世の中が認め始めている。

キッズたちと、青春を経て今はもう大人になったボク等の夢を乗せてどこまでもいってほしい。

 

Are You Coming?

Are You Coming?